日本においてゴキブリの種類は
クロゴキブリ、チャバネゴキブリをはじめ、ワモンゴキブリ、ヤマトゴキブリなど全部で50種ほどと言われています。
ゴキブリ駆除依頼の現場ではクロゴキブリとチャバネゴキブリが主ですので、この2種類についての習性や特徴を紹介します。
ゴキブリ駆除の基本はゴキブリの生態知識が大切です。生態を理解した上で、どのように駆除・予防するか考えていきます。
クロゴキブリの生態と特徴
クロゴキブリの色と大きさ
成虫は3cm ~ 4cmくらいで、光沢のある黒褐色(くろかっしょく)です。褐色とは、濃い茶色っぽい色、コーヒー色、これに黒がつくので、黒っぽい濃い茶色でしょうか。光の加減で黒にも見えるし、茶色が入っているようにも見えると思います。
成虫前は、大きさ1.5cm ~ 2cmくらいで成熟幼虫期と呼ばれます。この時は赤褐色で赤っぽい茶色な感じです。この成熟幼虫期のクロゴキブリとチャバネゴキブリを見間違えてご依頼してくる方がいらっしゃいます。
茶色の色だけで判断してしまいがちですが、チャバネゴキブリはもう少し小さく1cm ~ 1.5cmほどで、少し細長い感じです。幼虫の大きさは1cm弱。黒色で、白い横縞模様があります。
幼虫が黒で、成熟幼虫期が赤褐色に変わり、成虫になると黒褐色へと変化していきます。時々、成虫でも茶色っぽいものもいますので個体差は若干あるようです。
クロゴキブリの生育期間
卵が孵化するまでおよそ40日間。卵鞘(らんしょう)と呼ばれる細長い筒の中に20~30個の卵が入っています。
幼虫から成虫になるまで2~3ヶ月ほどかかります。
成虫になってからオスで8ヶ月、メスで1年半ほどの寿命です。
メスは卵が孵化する1ヶ月前に、暖かく、暗くて、湿度がある安全な場所を探して卵を産み付けます。産みつけた卵にホコリなどを被せて目隠しすることもあります。ゴキブリは危険を察知して、自分はもうダメかもしれない!と思うと卵を産み落とします。
死ぬ間際に卵を産み落とすこともあります。それ以外は、十分安全な場所を探して卵を産みます。
クロゴキブリの生息情報
活発に活動するのは5~9月で特に気温との関係が大きいです。気温が20度を超えると活動期に入ります。25度を超えると活発に活動します。湿度も60%~80%で発育が旺盛になり、湿度75%~100%では繁殖も活発になります。
このため、ゴキブリは高温多湿な場所を好み、キッチン・洗面台・排水溝・冷蔵庫の下や戸棚の裏などに潜むことがが多いです。庭の植え込みなどにも生息しています。
ほかのゴキブリの種と比べると寒さに比較的強いですが、15度以下ですと一気に活動が弱まります。ゴキブリは夜行性なので、夏の夜は普通に道路を歩いて活動範囲を広げたりしています。気温が30度を下回らず、湿度の高い熱帯夜では活動が旺盛で、クロゴキブリの場合、飛ぶことがあります。
チャバネゴキブリの生態と特徴
チャバネゴキブリの色と大きさ
色は明るい茶褐色です。羽は光沢があります。羽といってもクロゴキブリと違い、飛ぶことができません。
体長は1.5cmほど。幼虫の場合3mmほどなのでゴキブリの幼虫だと思わないかもしれません。
幼虫は黄色のまだらがあるのが特徴です。
チャバネゴキブリの生育期間
卵が孵化するまで20日間ほどで、クロゴキブリ同様に卵鞘があり、1つの卵鞘から40匹ほど生まれます。クロゴキブリと違い、メスは孵化するまでの20日間をお尻のあたりにつけたまま生活します。
幼虫から成虫になるまで1ヶ月~1ヶ月半ほどで、暖かい場所があれば年中繁殖期で1ヶ月に1度くらいのペースで産卵していきます。クロゴキブリよりも全てのサイクルが短いため、1度屋内に住みつかれると驚く速さで数が増えていきます。
成虫になってからオスで3ヶ月ほど、メスで5ヶ月ほどの寿命でメスは一生の間に4~5個の卵鞘を産みます。
チャバネゴキブリの生息情報
熱帯性のゴキブリで、寒さに弱く、暖かい場所を好みます。そのため日本では屋外に生息することはほとんどなく、人間の住む家屋の中に住みついて生活しています。ちなみに、屋外だけに住むモリチャバネゴキブリという種類もいます。見た目もチャバネゴキブリとそっくりですが、森や林のなかで生活していて屋内に住みつくことはありません。チャバネゴキブリと違い飛ぶこともできます。
チャバネゴキブリが屋内で潜む場所は、やはり温かく狭くて暗い場所。
床下や壁の中、天井裏などから、家電製品の中も温かいため、エアコンや冷蔵庫、電子レンジなどでも集団でコロニー(巣)を形成し生活しています。5mmほどの隙間を特に好み、キッチンの引き出しの奥や電化製品のモーター、電話機や冷蔵庫の背面部分にも多く生息します。
チャバネゴキブリの被害は飲食店に多く、厨房機器の奥やコールドテーブルの中、厨房の引き出しの中などによく生息しています。チャバネゴキブリも夜行性のため、昼間はコロニーでじっとしていますが、夜になると水や餌を求めて活発に活動します。食べるものの好き嫌いはなく、人の髪の毛から自分たちのフンまで食べてしまいます。
逃げ足はクロゴキブリよりは遅く反応も遅いです。しかし、人前にはあまり姿を見せず、コロニー周辺で生活しています。そのため家屋に侵入するのは、ダンボールと一緒に、服やカバンの中など、何かに紛れ込んで入ってくることが多いです。飲食店で働いている方が家に持ち込むケースも非常に多く見られます。
ゴキブリの侵入の仕方と繁殖力
ゴキブリ被害の2TOPのクロゴキブリとチャバネゴキブリですが、意外と生態が違うものです。
チャバネゴキブリは寒さに弱いため、暖かい場所を探すのが得意です。そのため、人の目につきにくいダンボールの隙間や電化製品の中などに住みつき、なにかと一緒に紛れ込んで家屋に侵入します。
クロゴキブリは寒さにも比較的強く、足も速く行動範囲も広いため、外部から通じる隙間から家屋に侵入してきます。特に多いのが、熱帯夜、家に入るときに玄関ドアを開けた瞬間を狙っての侵入です。気づかないことも多く、どこから入ってきたのかとビックリします。
クロゴキブリは卵から孵化するまで40日
チャバネゴキブリは孵化するまで20日と半分。
また、チャバネゴキブリは成虫になるまで1ヶ月~1ヶ月半とクロゴキブリの半分ほどです。
さらに、クロゴキブリは卵鞘を安全な場所とはいえ、産み落とすのに対し、チャバネゴキブリは卵が孵化する直前まで卵を持ち歩いています。
卵を産んだ後、天敵であるムカデやクモに卵を食べられてしまうのを避けるためでしょう。となると、チャバネゴキブリの卵はクロゴキブリよりも卵が孵化する確率が高いといえます。
こういった理由で、とにかくチャバネゴキブリの繁殖力はすごいため、チャバネゴキブリを2匹3匹と見たら、ほぼ間違いなく家屋内のどこかに巣があると考えたほうがよいでしょう。